川の中を覗くヒグマ

 河口部で1頭のヒグマの姿を見つけました。知床半島では、8月中旬からカラフトマスの遡上がはじまります。今年の遡上はまだ確認していませんが、サケの仲間が川を上ってくる時期が近いことをヒグマも知っています。このヒグマは、川の中を覗き込んだりして魚の姿を探しているように見えました。遡上してくるまで、あと少しですが、しばらく川の中とのにらめっこが続きそうです。


※この映像は、ヒグマとの距離が十分あり安全が確保された状態で撮影しています。

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藤川

2020年7月の羅臼湖

 7月に入って、あまり雨が降っていません。その影響か、羅臼湖登山道にある二の沼が干上がりかけていました。雪解け水や雨水が主な供給源で河川や地下水供給がないため降雨量が少ないと干上がってしまうことがあります。あと数日もつかどうかというところでしょうか?三の沼は地下水供給があるため水位が一定です。周辺の湿地ではモウセンゴケの花が見ごろを迎えていました。食虫植物であるモウセンゴケは葉がしゃもじ型をしていて粘液があります。その粘液で小さな昆虫を捕らえて消化していきます。よく探してみるとエゾルリイトトンボが身動きできなくなっていました。ハイマツ帯では、マツの実が豊作で、ギンザンマシコの姿を見ることができました。日本では、北海道の高山帯で観察できる野鳥です。なかなか遭遇しないレアな鳥なので、ラッキーでした。くちばしが丈夫なためマツの実の殻を剥いで中の種子を食べていました。



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食べ物を探すヒグマ

 海岸草原を歩いていると、単独のヒグマと遭遇しました。この時期、ヒグマはエゾノシシウドなどのセリ科草本を食べていることが多いですが、知床半島では、エゾシカの影響により海岸植生の多くが失われています。そのため、海岸草原ではアリの巣を掘り起こして食べるなど、植物以外の食べ物を探していることもあります。このヒグマは、草丈が高いため地面付近で何をしているのか詳細はわかりませんが、食べることのできる草本類やアリなどを探しているのではないでしょうか。知床国立公園には、フレペの滝遊歩道や知床五湖遊歩道があり、散策中にヒグマに遭遇することもあります。十分な距離を取り、大騒ぎをして相手を刺激することのないように、その場をゆっくりと離れましょう。

※撮影には超望遠レンズを使用しています。



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アカゲラの子育て

 今年は、アカゲラの営巣が多くの場所で確認できています。駐車場や道路脇、各遊歩道などで人目に付くところでも平気です。そんなアカゲラのご一家宅へお邪魔してきました。すでにヒナの鳴き声が巣穴から外に漏れているので、巣立ちも近いご一家でした。食べ盛りのヒナのために10~20分間隔で親鳥が餌を運んできます。運んでくるとヒナたちのテンションはMax。鳴き声が大きくなります。たくさん食べて早く外の世界へ旅立てるといいですね。



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知床の夏鳥

 知床には、さまざまな夏鳥たちが繁殖のために遠い場所からやってきます。5月から6月にかけては繁殖期で美しい囀りがいたるところで聞くことができます。今回は、出歩いて撮影した中でうまく撮れた野鳥たちを紹介します。本当は、囀りをしっかりと収録したかったんですが・・・。



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2020年初羅臼湖トレッキング

 本日、今シーズン初の羅臼湖へ行ってきました。例年よりも雪の少ない年だったため、雪解けが早く進んでいて登山道のほとんどが出ていました。桜もだいぶ咲いていて6月中にはすべて咲き終わるのではないかと思います。ヒグマの足跡も複数あり活発に活動しているようです。五の沼に行く途中で雪の重みでしょうか?木道が1か所壊れていました。まだ花は少なかったですが、ヒメイチゲ、ミツバオウレン、コミヤマカタバミ、ミヤマスミレ、エンレイソウを確認できましたよ。これから他の植物もいろいろと咲いてくるので楽しみですね。



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オロンコ岩花盛り

 ウトロの港にある大きな岩。オロンコ岩の上では、さまざまな野草の花が観察できます。知床半島では、エゾシカの増加に伴い、多くの野草が姿を消しました。オロンコ岩の上は、エゾシカが侵入できないため多くの植物が残されたレフュージュアとなっています。雪解けから2週間ごとに花が入れ替わるため見逃してしまうものもたくさんあります。気になる方は是非、登ってたくさんの花々を観察してみてください。


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知床の原生林の春

 今月上旬の原生林の様子です。例年だと標高300m付近はまだまだ雪深く、スノーシューが必要な場所ですが、今年は、冬の少雪の影響ですでに雪が融けてなくなっていました。原生林内を走る「枯れ沢」も6月中旬まで流れがあるはずが、すでに枯れ。7月中旬まで水がある沼も干上がってしまっていました。ここで暮らすエゾサンショウウオやエゾアカガエルにとっては、産卵場所を失っているため大きな影響が出ているのではないでしょうか?逆に沼の中に点在して生育しているヤチダモはしっかりと種子を落とし、たくさんの稚樹を育んでいました。春に水のない沼からの羅臼岳の景色は、なかなか見ることができないので、ラッキーでした。



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知床のミズバショウ

 ちょうどゴールデンウィークにあたる4月下旬から5月上旬にかけて雪解けが進んだ湿地帯では、ミズバショウが見ごろを迎えています。ミズバショウというと尾瀬を思い浮かべる方が多いかと思いますが、知床にも大規模な群落がいくつかあります。現在は新型コロナウイルスの影響で閉鎖している知床五湖もミズバショウがたくさん咲く場所です。(今回撮影したところは別の場所)そろそろ、知床にも桜前線がやってきます。本格的な春を迎えます。



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ウトロから大雪山系

 数日前に撮影した動画です。冬から春にかけて気温が低く、大気が澄んでいる日にウトロから遠くの山々を見ることができます。それは、大雪山系です。直線距離で約180kmも離れていますが、遮る山体がないため見えることがあります。年間に何回も見る機会はありますが、ここまではっきりと確認できる日は多くありません。気が付かない人の方が多いのではないでしょうか?双眼鏡や望遠レンズで確認してみると真っ白な山々が綺麗に見えていました。春は午前中にしか見えませんので、気になる方は水平線を眺めてみてはいかがでしょうか?



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